嫌われたがりと天邪鬼 完


「大嫌いって言われて喜ぶとか変態なんじゃないの」

「あはは」

「笑うンじゃないわよ」

「や、ごめんって」

「そう言いつつまだ笑ってンじゃないのよ」

「…うん」



那智が大きなテディベアに顔を埋めて。しばらくそうしていたかと思うと、少しだけ照れくさそうに上目遣いでこちらを見遣る。

綺麗な澄んだ瞳に自分が映った瞬間に逃げ出したくなった。



「ありがと、美由紀。やっぱ、美由紀いて良かった」

「…別に?お礼言われること何もしてないし。で、用はこれだけ?愚痴聞き?」

「え?別に用とかないし」

「は?」



きょとんとした那智を怪訝な思いを抱えて見つめれば、彼はさも当然と言わんばかりの表情で口を開く。



「僕が美由紀に会いたくなっただけだよ」



――嗚呼、もう。
那智、アンタのそういうとこが本当に、



「…だいっきらい」



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