兄妹のお話
魔女のお城はどこにあるの?
お前は今どこにいるの?
ここは澄んだ小川の辺
お前の姿は見えないんだよ
すると、鏡が辺りを照らすように光りました。
虹の根元の洞窟の中 野ばらの藪の棘の枝
手鏡の柄に巻きつけてみて
きっと何かが起こるはず
あたりはすっかり日が昇っていました。小川の向こうには虹がかかっています。ルキは虹の根元へと足を進めました。しばらく歩いていくと、小さな洞窟がありました。ルキはその洞窟に入り、薔薇の藪を探しました。しかし、いくら探しても藪は見つかりません。しかたなく、少年は少し休むことにしました。夜からずっと歩きづめで疲れていたのです。乾いた岩に腰を下ろすと、彼は瞬く間に眠ってしまいました。
少年が目を覚ましたのは、太陽が真上に来るころでした。不意に人の声が聞こえたので、彼はじっと身をひそめて様子を伺います。どうやらそれは少年の父母の声でした。ルキは音を立てないよう、息をひそめて声が通り過ぎるのを待っていました。父母に見つかれば、きっと家へ連れ戻されてしまうからです。
しばらくすると、人のものとも獣のものともつかない悲鳴がルキの耳に飛び込んできました。驚いたルキは声のした方向へ走っていきました。ルキが駆けつけると、そこには二匹の大きなオオカミが野ばらの藪にひっかかって死んでいました。オオカミたちはルキの父母の服をまとっていました。
ルキはその薔薇の枝を一本折り、手鏡の柄に巻きつけました。そのときにうっかり棘で指を刺してしまい、一滴の血が服に落ちました。血は、太陽の形のしみになりました。枝を巻き終わると、手鏡の枠がいつの間にか銀色に輝いていました。ルキは手鏡に語りかけました。