学校一のモテ男といきなり同居
「そう…それなら。行ってらっしゃい、気をつけてね」



「はい、わかってます」



笑顔で玄関へと向かうその姿は、もうウチの家族の一員のようで。



……なかなかやるわね。



ホント、お母さんに取り入るのがウマいんだから。



井上くんが家を出ていったあと、お母さんが呟いた。



「郁実くん、食欲がないなんて…もしかして、ホームシックかしら」



「まさか!絶対転校するもんかっていう勢いだったけど?」



お母さん、かいかぶりすぎ。



「そんなのきっと、口だけよ。ホントは寂しいのよ……真央、郁実くんの力になってあげなさいよ?」



「はいはいは~い」



「なんなの、その言い方は」



またお母さんのお小言が始まりそうになったから、あたしは急いで朝食を食べて、着替えをすませてすぐに家を出た。



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