学校一のモテ男といきなり同居
「いっ…郁実先輩、いたんっすか……」


その顔は恐怖に引きつり、見ているだけで、痛々しい。


井上くん、いたんだ!?


てっきり、出かけたんだと思ってたよ?


「風呂で寝てたんだよ…。治ったと思ったのに、また風邪が、ぶり返しそー」


この状況に、驚くこともなく、淡々と話している。


そして、軽くケホケホと咳をする。


その間に、ミキオくんは手を隠すように後ろにまわして、サッと立ち上がった。


「あっ……これは、一種のパフォーマンスで。真央先輩が、襲われたときに、どう対処するか教えてたわけで」


ミキオくんは、聞かれてもないのに、


あたしたちの、状況を説明している。


だけど、そうだよね。


さっきのミキオくんのセリフは、聞かれてたはず。


それなのに井上くんは、その話題には触れてこないんだもん。


それがまた逆に、恐ろしい。


そうすると、井上くんが失笑した。


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