学校一のモテ男といきなり同居
「真央…泣いてる?」


「別に…」


あたしは涙をこらえ、横を向く。


だけど既に流れでた涙は、誤魔化しきれない。


井上くんがあたしの目尻に、そっと人差し指をあてがった。


そして、涙をすくうように、ちょんとまつげに触れる。


「綺麗だな…」


あたしを泣かせておいて、


その涙を見て、綺麗って…。


この人の神経は、一体どうなってるの?






きっと、これも手の内なんだ。


泣いたキミも、綺麗だよ、とか。


歯の浮くようなセリフで、女を落とす。


そんなの、慣れっこなんだろうな…。


ズキズキと胸が痛む。









< 336 / 978 >

この作品をシェア

pagetop