学校一のモテ男といきなり同居
「パンツのひとつや、ふたつ。気にしなくていーよ」




「そういうことじゃないでしょ!?真後ろに男の人が座ってたんだから~!」




「知らない人なんでしょ?もう忘れなよ。あっ、郁実くーん」




友ちゃんと後ろを振りかえると、井上くんがちょうど自転車で門に入ってきたところだった。




井上くんはスピードを上げて、あたしたちのところまで自転車を走らせ、目の前でキキッと音を立てて停まった。




自転車を停める姿まで、なんだかカッコいい。




そして、そう思っている自分に嫌気がさす。










「なんだよ、同じ時間か。俺の方が10分以上遅く出たのにな。だから乗ってけって言ったのに」



ニッと口の端を上げて、笑う。



うっ!



今の、“カッコいい”は撤回!



ホントにコイツは、あたしの神経を逆なでする能力に長けているとしか思えないんだけど。



「ひとりでリラックスできたし」



「へ~。ストーカーは?大丈夫だった?」



「もちろん!」



「そっか。だけどさ~、もうあの電車には乗れないよな」



「……どういう意味?」



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