学校一のモテ男といきなり同居
「よけてんじゃねーよ!!」


今度は思いっきり肩を押され、体がぐらつく。



それでもなんとか踏ん張った。



「やめてよっ!こんなことして、どうしたいの!?」



打たれた上に押されてイラッとしたことで、あたしにもやっと言いかえす元気が戻ってきた。



ギャルをニラみつけると、後ろにいた白雪さんがクスッと笑った。



「郁実はもうすぐデビューするんだから、今あんたと変な絆を深めさせたくないわけ」



「……え」



「あたしも地元の子から聞いたし、あんたは知らないだろうけど、郁実って周りに黙ってバンド活動してるの。

パパの知り合いがレコード会社の社長で、郁実の写真とバンドの演奏をコッソリ見せたら、契約してもいいって言ってくれたの」



「レコード会社……?」



それって、もしかして今週末にあるっていうオーディションのこと?



井上くん、すごく楽しみにしてたのに。



実は、全て仕組まれたことだったなんて……。






「郁実はずっとデビューしたがってたから、あたしがその手助けをして、同じ事務所で活動する予定よ。

そしたら、あんたの家なんてすぐに出て行くんだから。ちなみにあたしはその事務所で、今後はモデルの仕事をするつもり」


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