学校一のモテ男といきなり同居
「チャラいし、エロいし、もう最悪で……早く出て行けって、ずっと思ってました」



「そうか…なら、アイツが出て行くと、ちょうどいいってことだな」



「それが、逆転したんです……」



「逆転?」



「郁実くんって、なんだか不思議な魅力を持ってて。嫌いってことは、気になる……の裏返しで。

あたし、最初から……気になってたんだと思います。

表面的には明るいけど、郁実くんなりに色々悩んでいて。親近感がわいて、気が付いたら……お互いを必要とする存在になっていて……」



「それは、ふたりが付き合ってるということかな?」



その言葉に、あたしの顔が一気に熱くなった。



「そっ……そそっ……それは、ホントに最近なんですけど……」



「こんなこというのもなんだが、郁実はなんでもその場限りだ。あんまり期待しない方がいい」



「あたしも、そうかもしれないって……ふとしたときに、思います。だけど……信じたいから……。

あたし、もう少し郁実と一緒にいたいです。

それに、もう少しで……郁実の夢が、叶うかもしれないから。お願いです、もう少し……時間をください」



深々と頭を下げ、おじさんに頼みこむ。



あたしがこんなことを言っても、取り合ってもらえるわけなんてない。



むしろ、同じ屋根の下で恋愛をしてるってわかった時点で、



大人からしたら、同居なんて御法度なのかもしれない。



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