学校一のモテ男といきなり同居
「それでも……あたしたちは……」



弱弱しい口調で、反論しようとするも、次の言葉が続かない。




そんなあたしを見て、おじさんが優しく笑った。




「身勝手なアイツだけど、三沢くんのお嬢さんなら安心して任せられる。どうだ、私にいい考えがあるんだ。

そのオーディションに、郁実が行かないようにしてくれないか?」



……えっ!?








「それは、難しいです。バンドのメンバーを裏切れないって言ってたし、ビッグチャンスだから外せないって言ってたし……」



「郁実の意志とは関係なく、行かなくてすむ方法がある」



ドキッとした。



おじさんの言う通りにすれば、郁実があたしから離れて行かない?



しばらくは別々に住むことになるけど、



最終的に、離れ離れにならない方法があるなら、あたしはそっちをとった方がいいのかも。



そうだよね……。



芸能界なんて、まったくの別世界。



そっちにどっぷり浸かってしまったら、



あたしのことなんて、きっと、すぐに忘れてしまうかもしれない……。



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