学校一のモテ男といきなり同居
「早く」



郁実に急かされ、渋々ベッドの上に座る。



目線は同じになったけど……



あのときと、ふたりの関係は違うわけで。



ドキドキしないって言ったら、ウソになる。



今の郁実は純粋に話がしたいっていうだけで、



きっと、疾しい気持ちなんて、これっぽっちもないはずなのに。



その、綺麗な瞳に見つめられるだけで……



なんだか胸が熱くなってくる。








郁実が来週には海外に行っちゃうのも嫌だし、



かといって、オーディションに行かせてしまうと、おじさんの言うように、ふたりの時間が奪われてしまう可能性も大きいんだよね。




「……見つめすぎ」




郁実が目を細めて、あたしのおでこを指で軽く弾く。




「だって、郁実があたしを見てるから……」



そうだよ。



見つめられたら、視線を外すことすらできない。



そのぐらい、あたしはもう郁実に惹かれてる……。



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