学校一のモテ男といきなり同居
「待ってよぉ~、真央ちゃ~ん」



間延びした声が後ろから聞こえてくる。



公園の中にある植込みの陰に隠れた。



真っ暗だから、あたしがどこにいるかはすぐには気づかれないはず。



ストーカーは、いったん公園の中に入ってきたようだけど、そのうち声が遠ざかっていった。












ホッ……。



よかったぁ~……。



安心したらすぐ、目が潤んできた。



会いたいよ……。



あたし、すぐに郁実に会いたい……。



ケータイをポケットから取りだし、涙でにじむ目を凝らし、なんとか郁実の番号を表示させた。



電話をかけると、数コールで郁実が電話に出た。



「真央、どした?電話かけてくるなんて、珍しーじゃん。もう、俺に会いたくなった?」



呑気な声が聞こえてきて、いつもなら怒るところだけど、今は全然そんな余裕もない。



「うん……会いたいよ……郁実に、会いたいっ。お願い、すぐに帰ってきて」



何かを察してくれたのか、郁実の声が真剣なモノに変わった。



「まさか、なんかあった!?ちょうど今、帰ってるところだから……」



そういうや否や、あたしの目の前を、郁実が乗る自転車が横切った。



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