学校一のモテ男といきなり同居
だから、



好きになればなるほど、苦しくなる。



どうやったって、あたしは、郁実の一番になれない……。



グッと唇を噛みしめてると、あたしの背中に回していた郁実の手がゆっくりと離れた。



えっ……



郁実……?









郁実は少し難しい顔をしたまま、ケータイを取りだす。



「とりあえず……先に、警察に電話する。あとで、ゆっくり聞くな……」



そう言って、反対の方向を向いてしまった。



あたし……今、こんなこと言ってる場合じゃないのに。



後悔するけど、郁実は警察が来るまであたしには部屋に戻るように言って、話をしようとはしなかった。



助けてもらって、すごく嬉しかった。



郁実が生きていてくれて、ホントに安心した。



それを、まず伝えなくちゃいけないのに。



あたしは……



どうして郁実を責めるようなことを、



言ってしまったんだろう……。



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