学校一のモテ男といきなり同居
「行くなよ……もう、俺のこと不安にさせんな」



「不安って……」



「今日だって、危険だってわかってたら、飛びこんでこないで助けを呼べよ。俺のことより、自分の安全をまず先に考えろ」



「そんなの、ムリだよ……郁実が、心配だったもん……」



「真央になんかあったら……俺……そっちのが、辛いから」



「そんなの、あたしだって同じだよ」



「それでもダメ」



ギューッと、力強く抱きしめられる。



壊れそうなぐらい、強く、強く……。



郁実の鼓動が伝わってくる。



抱きしめられた温もりと共に、安心感が増していく。









そのうち、どちらもなく手をつないで。



横に並んで、仰向けになって眠りについた。



疲れていたせいか、すぐに郁実の寝息が聞こえてきた。



月明りの中、その寝顔を見つめる。









この幸せなひと時を、



失いたくない。



だけど明日目覚めれば……



郁実はオーディションに行って、あたしたちは別々の道を歩むことになるのかもしれない。



郁実の夢を応援することが、あたしに唯一できること。



だけど、裏では白雪さんが手を回していて……。



このまま、



行かせてあげるのが、ベストなの?



それとも……。



出るはずのない答えを、あたしはずっと探し続けていた……。



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