学校一のモテ男といきなり同居
そこには、仏頂面でも、怒ってるでもなく、ただ無表情の郁実がいた。



無表情だけど、なんだか視線は冷たい。



軽蔑するような目で見られ、胸がえぐられるような思いがした。



こんな郁実……知らない。



いつも、媚びるぐらいの勢いで笑っていて、あたしのご機嫌をとってきたり、わざとイジワルなことを言ってくる、いつもの郁実じゃない。



全くの別人のような郁実を見て、話しかけるのを躊躇ってしまう。



あたしは、なにから話せばいい……?










郁実はあたしから目を逸らすと、そのまま階段をおりようとする。



あたしは思わず、郁実のシャツを引っ張った。



「どこに行くの!?」



「今は、ひとりになりたい」



そう言って、手を振りはらおうとする。



「やだっ……側にいる!」



ギュッと郁実の背中にしがみつくと、郁実はゆっくりと、その場にしゃがみこんだ。



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