学校一のモテ男といきなり同居
そして、うずくまってしまった。




「郁実っ……ねぇっ……」




体を揺するけど、顔を上げてくれない。




ひとりになりたいってことは、じっくり考える時間が欲しいってことだよね。




だけど、傷ついて、ただ不安なだけなら……あたしが側にいるから……。




郁実の前にまわって、手を握りしめる。




それでも郁実は、顔を上げてくれなかった。










なんて言葉をかけていいのか、わからない。



ただ寄り添うことぐらいしか、今のあたしにはできないけど、



振り払われないってことは、それぐらいはしてもいいってことなのかな……。



玄関が開く音がしたから、お母さんが外に出ていったみたいだった。



外ではまだ、マスコミの声が聞こえてくる。



お母さん、あの中に出ていったんだ……すごい。



ウチのお母さんのことだから、「ウフ。お母さん、テレビにうつっちゃった~。録画しててよかった~」



なんて言ってそうだけど……。



とりあえず外はお母さんに任せて、あたしは郁実の気持ちのケアに専念することにした。


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