学校一のモテ男といきなり同居
ギュッと握った郁実の指先は、冷え切っていた。



冷たい手を温めるように、優しく包んだけど、郁実からはなんの反応もない。



さっきの、無表情だった郁実の顔を思い出す。



感情がわからないって、ニラまれるより辛い……。



「とりあえず、部屋の中に入ろう?」



促すけど、郁実は動こうとしない。



「それなら、このままずっとここに座ってる?」



顔を覗きこむけど、相変わらず顔を上げてくれない。



仕方なく、あたしはその場を離れた。












だけど、諦めないから。



あたしと郁実の気持ちを切り替えるために、一度1階におりた。



キッチンに行って、ペットボトルを持って、また2階にあがった。



郁実は顔もあげず、まだ廊下にうずくまっていた。



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