学校一のモテ男といきなり同居
「ごめん……なさ…い……」



あたしはただ、謝ることしかできなくて。



郁実に怒鳴られたこと、嫌われたかもしれないことが、怖くて仕方がない。



顔を手で覆い、深呼吸をする。



こうしないと、今にも泣いてしまいそう。



謝りながら泣くとか、媚びてるみたいでホントに嫌だから……。



「才能のないただの勘違いヤローが、お膳立てされなきゃ、デビューもできないなんて、笑えるよな。言えるわけねーか」



「あたしは……そ、そんなこと、思ってない………よ」



涙をこらえ、息を吸う。



途切れ途切れに話しているから、泣いてると思われてるみたいで。







「泣かれると、マジでウザい」



「う……ん……」



泣いてないもん。



だけど、やっぱり泣いてしまいそう。



いつも笑顔で優しい郁実が、あたしを完全に軽蔑してるのが手に取るようにわかる。



顔が見たいけど、見るのが怖いよ……。



きっと、冷ややかな目で……あたしを、見てるはず。



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