学校一のモテ男といきなり同居
郁実は眉をひそめ、考えるように目を閉じる。


「だけど…逃げ道は、それしかない…か」


「…えっ?」


「もうすぐ最終オーディションがあって、受かればすぐにでも寮に入れる。

給料も、一応もらえるらしいし。そしたら、親父の世話になる必要もないよな?」


「だっ…ダメっ!!」


「…は?」


あたしが反対すると思ってなかったのか、気の抜けた返事を返してきた。









「郁実の目標は、世界一のアーティストでしょ!?

今のバンドメンバーと、デビューしたいんじゃないの?」


「そうだけどさ。この際、仕方ないし」


「あっ…諦めないで!!」


気づけば、あたしは郁実の腕にしがみついていた。


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