学校一のモテ男といきなり同居
アイドル誕生
結局、郁実はオーディションに行かなかった。



家の周りを報道陣が囲んでいたっていうのもあるけど、バンドのメンバーの考えは全員一致。



みんな一斉に、『白雪が関わってるなら、なにか裏があるはず』って言ってたんだって。



それだけ信用がないってことだよね…。



デビューしたあとに、郁実以外は解雇になるかもしれないってことも、あたしがわざわざ言うまでもなかった。



だけど、このオーディションが白雪さんが計画したっていうことは、



もっと早く郁実に伝えるべきだったよね。










「……どした?元気ないなー」



月曜の朝。



朝食を食べながら、ボーッとしていたら、横から郁実が顔を覗かせた。



郁実はとっくに食べ終わって、歯を磨きに行ったものだと思っていたんだけど、



いつの間にか戻ってきていたみたい。



「元気だよー。報道陣も来なくなったし、ストーカーも捕まったし、もう…心配することはないもん」



郁実とお父さんの問題が残っているけど、それは郁実が決着をつけなきゃいけないことで。



あたしは、うまくいくように願っていることしかできない。



今、あたしがつまらなそうにしているのは、テレビでの郁実の露出度が高いことが不満なの。



テレビをつければ、必ずといっていいほど、郁実の映像が映るから。



< 516 / 978 >

この作品をシェア

pagetop