学校一のモテ男といきなり同居
「ばっ……バカ郁実!!そんなこと言ってないから!!っていうか、入ってないしー!!」



「へへっ。帰ったら、入ろーか」



あたしの話なんて聞く気もないのか、郁実はただヘラッと笑っている。



うしろの子たちは自転車を取りに来たはずなのに、あたしたちの話を聞いてられなくなったのか、慌てて走って逃げていった。



「ちょっと!!誤解されたよ、どうするの!?」



「知らねーよ。人の話盗み聞きするからだろ」



「……え?」



「アイツら、ずっと後ろコソコソついてきてたし。話し声、一度も聞こえなかったろ?」



そういえば…。



うしろに人がいるなんて、ついさっきまで気づかなかった。










「お前、大丈夫?白雪と仲直りしても、また別のヤツにヤられんじゃね?」



「ええっ!?」



「俺、人気者だから。女の恨みかって、卒業まで無事でいられるかなー」



背筋が一瞬寒くなる。



「そんなこと言わないでよ。しかも、自分のこと人気者とか言う!?」



「ハハッ。ま、疑いだしたらキリがないよな?俺のことで誰かが文句言ってきたら、言えよな。俺が直接言いにいくし」



「あ……りがと」



「ホラ、乗れよ」



郁実が自転車のうしろを指さす。



うしろに乗れるのも、あと数日だよね。



そう思うと、かなり切ない。


< 577 / 978 >

この作品をシェア

pagetop