学校一のモテ男といきなり同居
「あー、ダメ。俺ってすぐそーいう言い方しちまう」



「……え?」



「真央は、今で十分魅力的。逆に、俺の理性を保つ方法を教えてくれ」



「もうっ、バカなこと言わないでよ」



「ハハッ」



「ねえ……どこの事務所に行きたいか、決まった……の?」



机の上の名刺を指差して聞いてみる。



「まだ。どれも条件が一致しねー」



「そう……なんだ?」



「そ。明日親父を説得するのに、事務所だけでも決めようと思ったけど…全然。考えてたらボーッとしてきて、寝てたってわけ」



「アハハ……そうなんだ。おじさん、認めてくれるかな……」



「わかんね。さっき書類ひっくり返してたら、たまたまガキの頃の写真見つけてさ。その写真見てたら、俺って親不孝してんのかなーって思えてきて、またふりだし」




机の上の写真をあたしが手に取ると、郁実はまたベッドに突っ伏した。











これって……チャンスなのかも。



あたしはベッドに近寄って、郁実の顔を覗き込む。



「郁実は、どうしたい?やっぱりお父さんとしばらく一緒に暮らしたい?」



「……へ?」



驚いた顔をして、郁実があたしの方を見る。



「だって……そうだよね。親子だもん、一緒にいたいよね……」



「いや……そんなガラでもないし、別にそれはどーでもいいっていうか」



「えっ、そうなんだ!?」



「ただ、ちょっと切なくなっただけ。ガキの頃の俺にとっての一番は、親父だったけど……。

今は、他に守りたいモノができたし。俺に今一番必要なのは……」



ドキッ。



郁実が、そっとあたしの頬に手を伸ばす。


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