学校一のモテ男といきなり同居
「そーいや、真央を一番に考えるって言ったっけ」


「…………」


「お前が、あっちに行けっつーんなら…従う。

芸能事務所からオファーがたくさんきてるから惜しいけど、全部蹴る。それでいい?」


結論を迫られると、ホントにそれでいいのか迷ってしまう。


「…ごめんなさい。あたしが決めることじゃ…ないよね。

郁実が、一番したいように…して?あたしは、郁実を見守ってるから」


「ん…わかった。真央が応援してくれんなら、絶対に頑張れる」



ゆっくりと抱きしめられて、郁実の胸に体を預ける。


「うん…明日だけど、あたしも…行っちゃダメ?」


「親父のとこに?」


「そう。あたしからも、お願いする。郁実がいなくなったら、寂しくて死んじゃう」


「…は?なにかわいいこと言ってんの?さっきまで、親父に着いて行けっつってたヤツが」



ニヤニヤしながら、郁実があたしの頬をつまむ。



「そうだけど!行かないでって言ったら、ホントに行かないでしょ?」


「うん…行かない。ずっと、お前の側にいる」



耳にかかる髪をかきあげ、囁くように言われて更にドキドキが増していく。


郁実の指が髪を梳き、首筋をそっと撫でる。


「やんっ…」


「変な声出すな。興奮すんじゃん」


「ちょっ…変な触り方するからでしょ!?」


「そーいう風に触ってんの。ど?その気になった?」


「ばっ…バカじゃないの!?」


「バカなんだよなー、学習能力ナシ。さっき真央に嫌がられたのに、また同じよーなこと言ってるし」


苦笑しながらあたしから離れると、ベッドに腰掛ける。


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