学校一のモテ男といきなり同居
気がつけば、彼女たちに話しかけていた。



「ねえ…もしかして、この男の子と知り合い?あたしも井上くんっていう人知ってて…」



このCMのこと、特に気にしてなかったけど…



思い返してみると、背格好が郁実に似てるかもしれない。



そう思っただけで、ドキドキしてくる。



すると、女の子のうちのひとりが顔を上げた。



「知り合いっていうか、前に好きだった先輩に似てるんです。だから勝手に、井上先輩って言ってるだけです」



クスッと笑うと、照れくさそうに俯いている。



「好きだった先輩……そうなんだ。あたしの好きな人も、井上っていうんだ。偶然だね」



突然こんなこと言われても困るよね。



言い捨てて逃げようとすると、女の子に腕を掴まれた。








「もしかして、井上郁実先輩ですか!?」



「えっ!!郁実を知ってるの!?」



「知ってます!去年までバンド活動してましたよね。あたし、井上先輩のファンだったんです!!」



「そうだったんだ……」



「その制服…井上先輩と同じ学校ですよね?先輩、もう日本に帰って来ないんですか?もし知ってたら、教えて下さいっ」



女の子は泣きそうになっている。



あたしだって…知りたい。



だからこそ、この女の子の気持ちは痛いほどわかる。



答えられるものなら答えたいけど、



連絡のない今、郁実のことは何ひとつわからない。



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