学校一のモテ男といきなり同居
心臓が、ドキドキする……。



こんな風に、男の子に優しくされるのが久々だから?



ううん、これはきっと、



郁実への罪悪感。



郁実のいないところで、男の子に口説かれてる自分がイヤ。



あたしに隙があるからそうなるんだって、



郁実ならそう言うはず。



なんとか、話を違う方向に持っていかなくちゃ。








とりあえず、美術で一緒だしその話をすることにした。



「ねえ、草野くんはどうして美術を選択したの?あたしは、友だちと確実に一緒になれそうだったから選んだんだけど」



美術の他に、家庭科や音楽、書道などがあって、



どれも競争率が高い。



美術が一番人気がなかったから、友ちゃんと迷わず選んだ。



すると、草野くんがクスッと笑う。



「俺?真央ちゃんが美術を選んだって、他のヤツに聞いたから。一緒がよかったんだ」



えっ……。



今、『真央ちゃん』って呼んだ?



突然親しげに呼ばれ、戸惑ってしまう。



そして、あたしがいたから美術を選んだって……どういうこと?



これが好きな人や、親しい友達なら喜ぶところだけど、



なんともいえない嫌悪感が、あたしを襲った。



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