学校一のモテ男といきなり同居
「友ちゃん、どっ……どうしよう!!」




トイレから帰ってきた友ちゃんに、さっきまでの経緯を話す。




「とーぜん、行くしかないでしょ」




「だけど…」




「10分ぐらい、郁実くんだってなんとも思わないよ。それより、真央が笑顔になる方を郁実くんなら喜ぶと思うよ」




ドキッ。




「そうなのかな…」




「そうだよ!真央、最近笑顔が少ないもん。ここは草野くんに元気つけてもらってよね!」




あたし、笑顔が少ないの?




CM見て元気になる日も多いし、そんなことないはずなのに。




郁実がいない日常は、やっぱり寂しい。



自分では気がつかないけど、四六時中浮かない顔してるのかな。













今日の全ての授業が終わり、放課後になってしまった。




ずっと悩んでたけど、答えは出ない。




そのうち草野くんが、あたしのクラスへやってきた。




「三沢さん、どうするか決まった?」




「え…と」




「帰りながら迷ったら?」




「……そうしようかな」




ってことで、流れで一緒に帰ることになった。




校舎を出てから気づいたけど、これって……もう、草野くんのペースにハマってる?




このまま電車に乗れば、放課後を一緒に過ごすことになるよね。



「あたし、やっぱりここで」




引き返そうとすると、草野くんに腕を掴まれた。



「嫌っ!!」



反射的に、叫んでいた。



まだ、男の人に触れられることに慣れない。



自分でも驚くほど、草野くんのいる場所から、



数メートル先に飛びのいてしまった。



< 698 / 978 >

この作品をシェア

pagetop