学校一のモテ男といきなり同居
ただ、首を横に振る。



だけどそんなので、草野くんが許してくれるはずもなかった。



「三沢さん、俺の目を見て。なにか…重大な問題があるんだろ?俺が全部受けとめる。だから、ひとりで頑張ろうとするなよ」



真剣な草野くんを前にしたら、目を逸らせなかった。



優しさに、胸がギュッとなった。



「ずっと草野くんを拒み続けてるのに、どうしてこんなに親身になってくれるの?

あたし、ずいぶんひどいことをしてるはずなのに……」




「そんなの……好きだからに決まってるだろ?三沢さんのことしか、考えられないし……嫌われても、簡単に諦めらんねーよ」



肩に指が触れそうになって、ビクッとしたのを草野くんは見逃さなかった。












「……触られるのが、ダメ?」



「うん……。意識してるつもりはないんだけど、どうしても……怖い」



「怖い……って、どうして……」



そこまで言って、草野くんがハッとした。



「まさか、あのストーカー事件のとき……男に何かされて……」



「やめてっ……違うの!!なにもされてないの。郁実が助けてくれたから……なにもされてない……」



思い出したくないのに、



ストーカーの気持ち悪い息遣い、ねっとりとした舌。



昨日のことのように、あの感触がよみがえってくる。



ゾワッと鳥肌がたち、気分が悪くなってきた。



「嫌ぁ……郁実っ……どうして側にいてくれないの!?あたし……どうすればいいの……」



「三沢さん、しっかりして!!おいっ、三沢さん!!」














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