学校一のモテ男といきなり同居
「うん。草野くんがいなかったら、今頃どうなってたか…」



「原因を作ったのは、俺だけどね」



申し訳なさそうに言うから、慌てて否定した。



「そうじゃないよ!草野くんは、あたしに触れなかった……あたしひとりでパニックになっただけで…。

以前も、同じようなことがあって。そのときは、また郁実が助けてくれたの」




「そうなんだ」




「もう、治ったと思ってたのに…」




「一度、うちの病院で診てもらうといいよ。色々手広くやってるから」




そうだ、さっきも聞こうと思ってたんだ。




「うちの病院って?」




「学校の近くにあるだろ、総合病院が。あそこの院長、親父なんだ」




「えっ……そうなの!?全然、知らなかった」




「知らないのも無理ないよ。誰にも言ってないから」




「どうして?お父さんが院長なんて、すごいのに」




「別に…俺がすごいわけでもないし。それより、三沢さんが元気を取り戻すためならなんでもするけど。

とりあえず、これでも見て」




草野くんの言葉に、ちょっと感動していたんだけど、




余韻に浸る間もなかった。




だって、草野くんに手渡されたのは……




あたしが今一番、




興味をひかれるモノだったから。



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