学校一のモテ男といきなり同居
「芸術展で俺が賞をとれば…会えるかも」



「会えるって……誰に?」



「井上くんに。この芸術展は、大手芸能事務所が協賛しているんだ。

この記事に書いてあるのと、同じ事務所名だよ」


「そうなの?」


「ああ。確か去年は、TAKERUがプレゼンターとして登場したしね。

毎回、事務所一押しのタレントを持ってくるみたいだし、井上くんの線もあるんじゃないかな。

もちろん授賞式には三沢さんにも出てもらうよ」



TAKERUは、映画や雑誌上で世間を賑わす、今話題のイケメンタレント。



あたしが…授賞式に?



そして、郁実に会えるかもしれない…。



今の状態では、まともに郁実に会うことなんてできない。



だったら…このチャンスに、かけてみるしかない?










「あたしで…よければ」



途端、草野くんの顔がパッと明るくなった。



「マジで!三沢さんがモデルをしてくれるって!?やったー!!受賞、間違いなしだよ!!」



手をとって喜びを表現しようとしたみたいだけど、



あたしに近づいてから、草野くんは一瞬後ずさった。



「ごめん、つい……。触ったら、ダメなんだよな」



「ああっ…うん。軽くタッチぐらいなら、平気だと思う」



わからないけど、あまりに拒否するのも失礼かなと思って、そう言ってみた。


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