学校一のモテ男といきなり同居
邪魔しちゃいけないよね……あたしはまた窓の方を向く。




しばらくすると、チャイムが鳴った。




「あ……もうこんな時間」




気付けば、8時を過ぎていた。




そろそろ人が増えてきた頃だ。




別館にある美術室には、本館の生徒の声は届かない。




「終わろう。三沢さんのおかげで、いい作品になりそうだよ」




「そんな…ただ突っ立ってるだけで、なにもしてないよ」




「十分過ぎるよ。貴重な時間を俺にくれてありがとう。このお礼は、またするから」




「ええっ!?お礼なんていいよ。あたしこそ、今朝は迎えに来てくれたのに…追い返すみたいなことしてごめんね」




「いいよ。言われたときはショックだったけどね…」




やっぱり……。




「ホントにごめんなさい。気を遣ったつもりが、逆に失礼だったよね…」




ああいうときは、好意に甘える方がいいのかもしれない。




「そんなことないよ。また、放課後会える?できれば早めに仕上げたいんだ」




「うん、もちろん。放課後ここに来ればいいかな」




「ああ、お願いできる?」




「うん」




そうしてあたしは、放課後にまた草野くんと約束をして、自分のクラスへ向かった。




< 720 / 978 >

この作品をシェア

pagetop