学校一のモテ男といきなり同居
友ちゃんとふたり美術室で草野くんを待っていると、本人が現れた。




だけどなんだか不機嫌そう。




「三沢さん、俺…ひとりで来てって言わなかったっけ」




「あれ、そうだった?」




それは言われてない気がするんだけど。




「あっ、あたし気がきかなくてごめんね~、真央っ…帰るね」




慌てた友ちゃんは、カバンを持って逃げるように去っていった。




「友ちゃんっ……」




「ごめんね、作品を手掛けている最中は気が散るんだ…」




そういえば、すごく真剣な表情をして描いていたっけ。




集中しなきゃだし、あたしの配慮が足りなかった?




「あたしこそ。軽い気持ちでモデルを引きうけたから……」




「そんなことないよ。三沢さんは悪くないよ。さあ、始めよう」




草野くんに促され、また今朝と同じポーズをとる。




……そうだ。



コーヒーおごってもらったから、なにか買ってくればよかった。




あたしってダメだな~、気がきかない。




自己嫌悪に陥っていると、突然草野くんがフッと鼻で笑った。




「……え?」



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