学校一のモテ男といきなり同居
「望み通り、帰るよ。このままここにいても、俺のことを怖がるだけだろ?」




「そっ…そんなこと……」




「ないの?」




「うん……さっきはごめんね。つい、カッとなって……。もう遅いし、このまま泊まっていって?」




違和感はあるけど、草野くんを怖がっても仕方がない気がする。




草野くんには色々助けてもらったもんね……。









「助かるよ。ホント言うと、帰ったら0時過ぎるし困ってたんだ」




いつもの穏やかな笑みが戻ってきて、




あたしもホッとした。




そのあとは、さっきのアレはなんだったの?っていうぐらい、いつもの草野くんだった。




お風呂に入ってもらって、着替えがないことに気がついた。




廊下から声をかけると、草野くんの明るい声が返ってきた。




「井上が忘れていった服とかないの?」




郁実の服?




そういえば……。




すぐに家を出て行ったから、その前日の洗濯物がそのまま残ってたはず。




あたしは郁実の使っていた部屋へと急いだ。




「あった~!」




部屋着があったから、それを手にお風呂場へ直行。




郁実、今夜だけ貸してね。




心の中でつぶやきながら、小さく開けたドア越しに、衣服を草野くんに手渡した。




「ピッタリだ」




お風呂から上がった草野くんが、郁実がいつも着ていた部屋着を着てそこに立っている。




今まで気づかなかったけど、背丈も同じぐらいなのかもしれない。




「井上って、幸せモノだよな……」




「え~?」




「三沢さんと、新婚みたいな生活を毎日送ってたわけだろ?これは好きにもなる……」




新婚って!




「もお、やめてよ。草野くんってば」




「俺だって、毎日ここにいれば…10%ぐらいあるのかな」




「……え?」




「三沢さんが、俺を好きになる可能性が」




ドキッ。



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