学校一のモテ男といきなり同居
時差?



そんなの…わからない。



郁実の性格だと、出れる時にしか出ないはず。



それに、



あたしからの着信通知に、出てくれるかすらわからない。














しばらくコール音が鳴ったあと、



一瞬音が途切れた。



……えっ。



「はい……」



低くて、聞き覚えのある声が聞こえた。



「いっ……郁実、あたし……」



必死で声を絞り出す。



久しぶりにする会話なのに、カミカミだしダサすぎ。



だけどそんなこと、気にしていられない。



「真央だけど……あたしのこと、覚えてる?」



そう言ったら、失笑された。



「ブッ……忘れるわけねーし」



きゃーっ!!



いつもの郁実だっ。



やっぱり、あたしのこと気にかけててくれたの!?



忘れられてなくて、よかった……。



ここで、「全然連絡くれないね」とか、



「早く会いたい」とかっていう言葉は、



郁実の負担になるだけだよね。



なんて言えばいい?



不安でいっぱいだけど、



もう、こうやって声がきけただけで幸せ。



そして短い会話の中での、



以前と変わらぬ優しい口調にホッと胸をなでおろす。




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