学校一のモテ男といきなり同居
「久しぶりだよね」


「だな」


「元気にしてた?」


「まー、それなりに」


ええっ、このテンションの低さは何!?


久々に話せて嬉しい!とか、 


何でいきなり電話してくんだよーとか、


何もないんだ…。


反応がニブいことで弱気になり、次の話題に詰まっていると…。


 





「珍しーじゃん、真央が電話してくんの。何かあった?」



って、郁実が聞いてきた。



そう!そうなの!

 

さすが、郁実。

 

実はね…。



そう声に出そうとすると、郁実が続けて話し始めた。


「何かあっても…今の俺じゃ、力になれねーから。近くにいる、一番信頼できるヤツに頼れよ」



ズキッ。



一気に突き放されたような気がして、あたしはもう何も言えなくなってしまった。



「電話も、しなくてごめんな。俺からはかけ辛くて。真央を置いて行くことに決めたのは、俺の方だから」



それでも、電話したいよ。



「うん……」



気持ちとは、裏腹な言葉しか出てこない。



「今ちょっと手ぇ離せなくて」



「わかった…それでも、電話に出てくれたんだね。ありがとう」



郁実の口調は、以前のままだと思ってたのに。



出てくる言葉を聞いていると、電話の向こうの相手はまるで郁実じゃないみたい……。



そうだ…



CMのこと、聞いてみなくちゃ。



この電話を切ったら、次はいつ話せるのかもわからない。



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