学校一のモテ男といきなり同居
「じゃ、また…」



「待って!あのね、CM見たよっ。郁実、芸能活動始めたんだよね!?」



「へ…?CMって、何の話だよ。毎日忙しくて、芸能活動どころじゃねーっての」



「えっ、だってスポーツドリンクの…」




まさか、違うの?



確かに、ハッキリと顔を見たわけじゃない。




だけどもしそうなら雑誌のインタビューの、あの回答は?



あたしと郁実だけの出来事だと思っていたけど、あのインタビューを受けたのは、全くの別人だってことなの!?



パニックになっていると、郁実がフウとため息をついた。











「ふ~ん……俺に似てんの?そいつ」



「うん。横顔だけど……。ねぇ、冗談言ってない?あたしを驚かせようとしてそんなこと…」



「ちゃんと見ろって。俺じゃねーのに間違えるとか、ショック」



「そ、それはそうなんだけど…」


 
会えない寂しさから、あれが郁実だって信じたかっただけなのかな。



連絡をくれない理由を、そうやってこじつけたかったのかも…。



CMの彼が郁実に似ていたっていうことも、だんだん自信がなくなっていく。



「それとも、幻想見ちゃうほど俺に飢えてんの?フッ」



「……はあ!?」



一緒に住んでいた頃に戻ったかのような、郁実のバカにするような発言に、思わずカチンときてしまう。



ワガママも言わず、耐えてたけど……



こんなの、あたしらしくないよね。



「そんな言い方しないでよ!そうならいいなって思ったんだもん!!

遠くて全然会えないし、忙しいだろうから電話していいかもわからないし、あたしの中から……郁実がどんどん消えていっちゃう……」



こんな風に言うつもりなんてなかったのに、止まらなくなってしまった。



不満が、次々と口から溢れ出す。



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