学校一のモテ男といきなり同居
「ま、とりあえず無事でよかった。ずっとお前んちの外で張ってたんだけど、まさか今日来るとはなー」




「外で…って。最近誰かに見られてる気がしてたけど、あれって郁実だったの!?」




「ハハ、悪い。毎日じゃねーけどな」




「そうだったんだ……でも、ストーカーがひとりじゃないって…まさか、草野くんが?」




「そう。姿現すのに、1年もかかったけどな。俺が去年捕まえたストーカーは、余罪はあるけど電車で学生カバンを盗んだりしてないって聞いてて。生徒手帳も、偶然駅で拾ったらしい」



「そう……なの?」



「俺の退学のことだって、きっかけは…誰かからの嫌がらせの電話だったって、わかった」




「……えっ」




「あのときの俺は、マスコミによってヒーローみたく取り上げられてたけど、実際は問題児だろ?

俺のせいで女が何人か学校やめたこともあるし、それを黙認していた学園のことが今後問題視されるんじゃないかって…学園長のところに、脅しの電話がかかってきたらしー」



「そんな…」



「親父が学園長に退学届を出したことになってるけど、実際はそういう流れにさせられた。俺は、学園長に見捨てられたんだ」




「ひどい……だったら、郁実は学校を辞める必要なんて、なかったんだ!?あたしたちも、離れなくてすんだってことだよね!?

信じられない……誰が、そんな電話を……?」




そこまで言って、ハッとした。




「だから、俺の存在を疎ましいと思ってるヤツがいるってことだろ?俺がいなくなって、得をするヤツ。そいつを、徹底的に調べてやろうって思った」



郁実の視線の先には、




完全に気を失って、床で伸びている草野くんの姿が。



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