学校一のモテ男といきなり同居
「で、だ。草野の家は、病院のとなり。電車に乗らずとも、通えんだよ」




「そんな……」




「気づかない方がおかしーって。そこから家までどうやって帰った?」




「あの日は、お母さんが迎えに来てくれて……あんまり、周りをよく見てなかった…」




「だからバカだって言われんだよ」




なっ……。




「久しぶりに会ったのに、そんな言い方ってなくない?それに、今日だって郁実が来てくれなかったら……あたし……」



「だから、助けに来たんじゃん。隙、ありすぎ。昨日だって、見ててマジムカついたわ。助けてくれたから?その程度で、俺以外の男、家に上げてんじゃねーよ」




郁実ってば、怒ってるくせにニヤニヤしてるの。




完全に怒ってるんじゃなくて、嫉妬?



やっぱりあたしはバカなのかも。



だって、これも愛情のうちなんだって思えるんだから。



「心配かけてごめんね……郁実がいて、よかった……」



ギュッと抱きつくと、それ以上郁実は文句を言ってこなかった。



あたしの言葉に応えるように、



思いっきり抱きしめ返してくる。









だけどずっとこうしてるわけにもいかないよね。




「草野くん…起きてこない?」




「かなり本気でやったから、当分大丈夫」




「えっ…やりすぎてない?大丈夫なの?」




「こんな変態の心配するなよ。コイツは、お前を視線で犯してた……絶対に、許さねー」



ズキッ。



「ヤダ……それ以上、言わないで……」



あの絵のこと…



郁実は、知ってるのかな。



あれを郁実に見られると思っただけで、恥ずかしくて死んでしまいそう。



< 796 / 978 >

この作品をシェア

pagetop