学校一のモテ男といきなり同居
「変態具合は、郁実も負けてないよね」



嫌味を言いながら、自転車を軽く蹴る。



「言ってみただけじゃん。けど、なんか起こる前でよかった」




「え?」




「草野、最近他の女子にも目ぇつけてて…真央にしたのと同じように、カバン盗んで合鍵作ってたみたいだな。そこは俺も気付かなかった」




「怖いよね…」




「お前も、気付いたのにどーして警察に届けないんだよ」




「だって、ハッキリそうだって断言できなかったし。それより今日は、あんな絵を描かれてた方がショックだったんだもん!気持ち悪かったの!!」




泣きそうになっていると、




突然、郁実が自転車のブレーキをかけた。














――ガクッ!




不意打ちで、郁実の背中に顔面をぶつけそうになった。




「もうっ!!いきなり、とまらないでよ」




怒るあたしを振り返り、心配そうに顔を覗きこんでくる。




「さっき警察とのやり取りの中で、真央の家に忍びこんだのも1回じゃないって言ってたし…俺ら、いつ見られてたんだろうな…」




「うん……」




草野くんが女子のカバンを盗んで合鍵を作っていたのは、あたしが最初じゃなかったみたい。




最初は、興味本位で。




気になる女子の家に忍びこんでは、部屋を物色し…時には、部屋のどこかに隠れて様子をうかがっていたんだとか。




ターゲットは、あたしだけじゃなかったんだけど、




郁実が同居しているのを目撃してから、




生活を盗み見ては、勝手に嫉妬していたって。




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