学校一のモテ男といきなり同居
「悪い、そんな顔すんなよ。追い詰めたいわけじゃなくて…ただの、嫉妬」




嫉妬されるってことは、それだけ愛されてるってことだよね…。




そこはシンプルに、嬉しい。




「郁実のおかげで、緊張がほぐれた……行こう」




言い合いをしているうちに、怖いっていう感情がすっかり薄れた。




「おう。例のモノ、どこに置いてある?」




「動かしてないなら…そのまま美術室にあるはず」




「どうだろな~。モデルを断ったし、嫌がらせで、正面玄関に飾ってあるかも…」




「やだっ、やめてよ!」




「ハハッ。草野は真面目だから、きっとそういう形では未完の作品を公表しないはず。

多分、美術室にあるだろ」



ホッとしたような、ちょっと不安なような。













だって、美術室だよ?




郁実が一緒とはいえ、別館まで暗いし…かなり距離がある。




とりあえず学校の中に忍び込むことは成功したけど、月明かりだけを頼りに行くのは心細い。



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