学校一のモテ男といきなり同居
「おい、寝てんのか?」



わっ。




目を開ければ、もう学校だった。




郁実が自転車を停めて振りむき、あたしの頬を突っついている。




「寝てないよ。眠かったの…」




幸せ満喫してましたとか、絶対に言いたくない。




「ふーん。俺に甘えたかった?後で時間作るから……うぉっ!」




「違うよ。早く行こう!人が来ちゃう」




郁実に隠し事はできないね。




寄りかかって幸せ満喫してたことがバレて、かなり恥ずかしい!




郁実に軽くジャブをお見舞いすると、すぐに自転車から降りた。











校舎の脇に自転車を停め、あたしたちは美術室へと向かう。




もう既に運動部の生徒が朝練に来ているみたいで、校門の近くや校舎の周りで、数人の生徒を見かけた。




だけど文化部には朝練はないし、別館には人気がなかった。




「まだ誰も美術室には入ってないみたい」




「なら、いーけど?」




意味あり気に笑う郁実の背中を軽く押した。




「そんな言い方しないで!早く美術室に行こう」




「わかってる。見たヤツがいたら、俺が口封じしてやるから安心して」




「郁実、やりすぎるから怖い。ミキオくんのときみたく、ボコボコにするんだよね」




「あ、わかった?カーッとなったら止まんなくなる」




「その性格、危ないよ」




「だよな。真央に対しても、普段はグッと堪えてるけど、突然野獣と化すかも」




ニヤリとしてるけど、郁実に限ってきっとそれはないはず。




今までだって、いつもあたしの気持ちを優先してくれたから。




ちょうど美術室に着いたこともあって、郁実の言葉をスル―して、そのまま部屋の中へと向かった。




「おいっ、そこ反応しろよ。マジだから!」




やいやい言いながら、あたしの後ろを追いかけてくる郁実。



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