学校一のモテ男といきなり同居
「やだってば……もうっ、郁実のバカ」




ポカポカと頭を叩くと、あたしの手首を握りククッと笑ってる。





「アハハッ」





「笑ってる場合?あたし、怒ってるんだけど」





「うん…いーな、その反応。やっぱ、いつもの真央だ」




「え……」




「まだ、男が怖い?俺なら…大丈夫?」




優しく見つめられ、ドキドキと高鳴る胸。




ストーカー事件以来、肌に触れられるのが苦手なところがあったけど…




郁実に対しては、なんとも思わなかった。




イヤっていうよりかは、ドキドキして…不思議な感覚。









「うん…郁実なら、大丈夫かも」




「よかった…。これからはもう、俺のことしか考えるなよ」



郁実の指が、あたしの唇をなぞる。



その行為に、ゾクッとして…思わず目を閉じた。



「この1年…郁実のことしか、考えてないよ。自然消滅だったらイヤだって…ずっと思ってた。連絡するのが怖くて、いつもひとりで考えて落ち込んで…」




「ゴメンな…もっと、他に方法があったかもだけど、俺の存在が消えた方が相手が現れやすいと思ったから」



「うん…わかってるよ。守ってくれて、ありがとう。郁実のいない未来なんて…もう考えられない」



「俺も」



まぶたの上からそっとキスをされる。



柔らかくて優しいキスは、額に頬にと次々と場所を変えていく。



「キス…してもいい?」



「もう、してるくせに…」



これは、口に…ってことだよね。




改めて聞かれると、余計恥ずかしいよ。



< 829 / 978 >

この作品をシェア

pagetop