学校一のモテ男といきなり同居
やった~!



郁実からだ。




今住んでいるところの住所が書いてあった。




来たことのない場所だけど、電車を乗り継いでなんとかやってきた。




駅をおりると下町っぽい雰囲気の土地で、




コンビニやクリーニング屋、小さな工場や八百屋などが立ち並ぶ中を歩き、目的のビルを探す。




2丁目は…あ、こっちだ。




ここだと思われる場所に建っているのは、一見ごく普通の雑居ビル。




え……ここなの?




郁実からのメールには、サンライズビル2階としか書いていない。




そういえば、何号室なんだろう。




エレベーターホールまで足を運ぶと、お世辞にもキレイとは言えない、なんだか薄汚い空間。




さっきまで誰かがここで喫煙していたのか、既に壁に染みついているのかはわからないけれど、強烈なタバコの匂いに眩暈を覚える。















すごい……。




こんなところに、郁実は1年も住んでいたの?




あたしが郁実を信じられずにいる間、郁実はここからあたしの家まで何度も足を運んでくれていたんだ……。




郁実の元々住んでいた家は、きっとウチやこの場所よりキレイなはず。




特に裕福でもないあたしでさえ耐えられないこの空間に、郁実が身を置いていたと考えただけで、胸がつまる思いがする。


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