学校一のモテ男といきなり同居
茶髪の男の子が部屋から消えると、星野さんがこっちを見て笑っている。




「ホント、明日からバイトにおいでよ。飯作って帰るだけだし、他は何も要求しないから」




どうしよう…星野さんには、事情を説明した方がいいのかな。




バイトには来ないけど、郁実に会いにまたここに来るかもだし…。




迷っていると、茶髪の男の子が戻ってきた。




「今、取り込み中。郁実となんだかいい雰囲気」




え……。




その言葉に、サーッと血の気が引くのがわかった。




いい雰囲気…って?




それと同時に、もう帰って来てたんだ……と、驚かずにはいられない。














「そうか~。あのふたり仲いーもんな。こないだも、郁実ちゃんの部屋から高木ちゃん2時間出て来なかったし…」




「やっぱ、デキてるよな」




ふたりして、頷いている。




ヤ…ダ。




部屋に入って2時間出てこなかった?




仲がいい。



いい雰囲気。




色んな言葉が、頭の中をグルグル巡る。




郁実のことがタイプだったからスカウトしたって言ってたし、




高木ちゃんが郁実を好きなのは目に見えてる。




郁実も、もしかして……




その気はないにしても、思わせぶりな態度をとってるのかな。




郁実なら、あり得るよね……。




信じたいけど、信じられない。




1年のブランクは、郁実が浮気なんてする人じゃないっていう、




あたしの信念を揺るがす。



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