学校一のモテ男といきなり同居
「帰るって…じゃ、送ってく。ゴメンな、もう少し早く帰るつもりだったんだ」



「疲れてるんでしょ。いい、ひとりで帰れる」



振り切って行こうとしたら、部屋の中から茶髪くんが出てきた。



「郁実ー、新しいバイトの子…お前の知り合い?」



「へっ、バイト?」



郁実はキョトンとしている。



「その子。かわいくね?もし知り合いなら、紹介してくれ…」



「いや、ムリ。これ、俺のだから」



わっ。



突然、ギュッと抱きしめられ、拒否することができなかった。



いっ、郁実!?









「それに、コイツ俺にしか懐かない」



甘い言葉が、なんだかくすぐったい。



再びギュギュッとして、おまけにほっぺにキスを落としてきた。



「郁実っ…こんなとこでやめてよ!」



胸を押すけど、周りに人がいるのもお構いなしで、



あたしのよく知っている甘い表情で微笑む。



「やっぱ今日帰るなって…俺の部屋行こ。それに、なんでここにいんだよ、俺の部屋で待てばよかったのに」



「えっ、そんなこと言った!?カギを渡されて、来いって言っただけじゃない」



「んなもん、察しろ」



「なっ……」



ドキドキさせられたかと思えば、いっきに突き落とされた。



場所だって、サンライズビルって書いてあったからアパートじゃなくて事務所に行っちゃったのに。



弁解しようと思っていたら。



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