学校一のモテ男といきなり同居
「そ。たまたまバイト先で、飲料メーカーの広報担当の人に声かけられて。

試しに受けたオーディションで、見事出演権を勝ち取った」



「そう…なんだ?」



「ここに住み始めた頃はさ、当たり前のことができなかったりで、どっかのボンボンなんだろなーって雰囲気が漂ってたけど…

この1年で、生活力ついてきたっていうか。顔つきが、変わった」




「顔つきが…?」




「前はただのイケメンだったけど、男っぽくなったよ。今の方がいい顔してる」




言われてみれば、そう…かも。




1年前の郁実より、




もっともっと、カッコよくなった。




だから余計、




魅力的になった郁実を心配して、




高木さんとのことも不安になるのかもしれない。










「ところで、郁実ちゃんは困った人を放っておけない性格だよね」




「……ええ…まあ」




「ここだけの話、ウチの事務所…今、経営状態がかなりヤバいんだ。

さっき逃げたたヤツが、高木ちゃんに前借り迫ってたのも知ってるし、その辺のことで話し相手になってるんじゃないかな…」




そっか…だから、郁実は…。




「そうなんですね」




「キミは、郁実ちゃんを連れ戻しに来たわけじゃ…ないよね?」




「え?」




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