学校一のモテ男といきなり同居
3人で…っていうか、ほとんど高木さんと星野さんが話していたんだけど、




星野さんが部屋に戻り、高木さんとふたりっきりになった。




シーン……。




「あの…仕事ありますよね、どうぞお構いなく…」




距離を置きたい気持ちからか、自然と敬語になる。




そしたら高木さんが、クスクスと笑った。




「あるけど、今日はいいよ。郁実のあんな嬉しそうな顔、初めて見たなぁ~」




「…え?」




「ここに戻ってくるなり、アイツ俺の自慢の彼女ってすごく嬉しそうに話してて」




「……へっ?」




「真央ちゃんのことだよ!早く会いたいけど、会ったら勉強どころじゃなくなるから、とりあえず今日の分だけやるって言って、さっきあっちの部屋で勉強してたの」




ウソ~!




郁実、高木さんにそんなこと話したの!?











そうなんだ、だからここに戻って来てすぐに姿を見せなかったんだね。




慣れない場所で不安な気持ちもあったし、待ち遠しかっただけに、あたしは早く会いたかった。




だけど郁実らしいというか、なんというか。



「終わって出てきたら、真央ちゃんとのことでアイツとモメたみたいだし…ホント熱いね。何でも全力なところが、郁実のいいところなんだよね」




「……それって、長所ですか?勢いで殴ったのに…」




「後先考えず行動するところはタレントとして危ういけど、あたしが彼女だったら嬉しいなって。ヘヘッ、事務所の代表としてこういう考えじゃダメだよね」




高木さんは茶目っ気たっぷりに、ペロッと舌を出す。




『あたしが彼女だったら』っていう言葉に、反応するあたし。




そういう置き換えは、やめて欲しい。




きっと高木さんに他意はないんだよね。




それなのに、あたしの心の中は…ドロッドロだ。



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