学校一のモテ男といきなり同居
高木さんが止めるのも聞かず、あたしはアパートを出た。




終電、間に合うかな…。




今からだとギリギリかもしれない。




早足で、駅へと向かう。




怖いはずの夜道も、荒んだ心のおかげで何も感じなかった。




頭の中で巡る、高木さんの言葉と表情。




郁実のことが…




好きなんだ。




そんな人がすぐ側にいて、いつも郁実の世話をしている。




そんな状態を知ってしまった今、穏やかではいられない。













あと、1年……。




仕事も軌道にのって、学校も無事卒業できれば…




郁実はおじさんに許してもらえるはず。




そうすればあのアパートを出て、一人で住むことだってできるよね…。




バイトのかけもちだって、しなくてよくなるはず。




改札をくぐり、電車を待っていると…ケータイが、震えているのに気がついた。




郁実……?



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