学校一のモテ男といきなり同居
「郁実……優しいから。高木さんに良くしてもらってる分、冷たくできないし……流されちゃ、ヤダ。そんなこと考えただけで、あたし…」




その場に立ちすくみ、俯く。




こんなこと言って、困らせるつもりじゃなかった。




わかってるのに、この1年ずっと寂しかったから、そういう甘えが一気に出てしまった。




郁実だって、嫌だよね……。




「やっぱり……あたし、帰るね。このまま郁実といても、嫌な言い方しかできない……」




反対方向を向いて歩き出そうとすると、グッと腕を掴まれた。




「勝手に行くなよ…心配だっつってんじゃん」




「タクシー拾うから、大丈夫だよ」




「ダメ、帰さない」




ギューッと抱きしめられて、ドキドキが増していく。














「郁実……」




「俺のこと、そんな信用できない?前の俺だったら、とっくに高木ちゃんに手ぇ出してるし」




爆弾発言に、ギョッとしてしまう。




「そ…そうなんだ……」




「でも、今は違う。真央がいるし、そーいうの…やめたから。正直に言うと、キスしそーな雰囲気になったこともあるけど…トボけた」




「ええっ!!」




「他の女みたく、強引じゃないしな…ウマくかわせる自信はある」




「ってことは…高木さんの気持ち……」




「知ってる。けど、こたえらんないから。俺には、真央しかいないし」




ドキッ。




その言葉は、嬉しいけど…高木さんのこと、わかって優しくしてたんだと思うと複雑。





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