学校一のモテ男といきなり同居
しばらく経った頃。




「郁実っ、ここにいたんだ!?」




ハッ。




すぐ近くで、女の子の声が聞こえた。




郁実はなんてことなさそうに振り向くけど、あたしは心臓がバクバク。



とっさに、郁実の後ろに隠れた。




「あ…ゴメンね、邪魔しちゃった?」




そう言って舌を出して謝っているのは、高木さんだった



キスしてるの、見られたよね…うわぁ、嫌かも。








あたしがギュッと郁実のシャツを掴むと、



「いや、もう部屋に戻ろうと思ってたし」



って、シレッと答えてる。



高木さんは申し訳なさそうに、あたしをチラリと見た。



「郁実の背中しか、見えてなかった。真央ちゃん…あの時間に出たのに、終電に間に合わなかったんだ?」



「あ…え、と」



答えに詰まっていると…。



「俺が連れ戻した。お前もさ、真央を帰すなっつったじゃん。この付近が物騒なの知ってるだろ?」




気をもたせないと決めた途端、高木さんに対する態度が冷たい。



いくらなんでも、やりすぎだよ!



慌ててフォローにまわる。



「それは、あたしが帰るって言ったからで…」



「それでも帰ろうとする時は、駅まで絶対に送るように頼んだはず。

もし真央に何かあったら…お前でも、絶対に許さないから」



そんな言い方ってないよ!



郁実をニラもうとしたけど、グッと腕を引かれ抱き寄せられた。



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