学校一のモテ男といきなり同居
ズンズンと歩く郁実に手を引かれるまま、夜道を歩く。




郁実の言うとおり、通り道に夜の匂いを漂わせたスーツ姿のお兄さんや、




いかにもチャラそうな、金髪でテンションの高い男女を何人も見かけた。




さっきは、たまたまいなかったんだね。




「郁実……このまま事務所、辞めちゃうの?」




駅とは反対の方向に向かう郁実の腕を、軽く引っ張る。




「ああ…真央もその方がいいだろ?」




ズキッ。




高木さんとは関わって欲しくないけど、あの言い方だとすんなり辞めれそうもないし、




こんな状態だと、郁実も気分が悪いはず。




「……やっぱり、戻ろう?こんなの、ダメだよ。仕事もウマくいきかけてるし…」




「だけどさ。アイツ、真央と別れろって…そんなの、絶対ムリだし。あんな汚いやり方で俺らを引き離そうとか、フざけすぎ」




郁実が、地面に転がっている石を軽く蹴る。




コロコロと転がる石を目で追っていると、ポチャンと音をたてて溝に落ちていった。









「もう……いいよ。マジで、何やりたいかわかんなくなってきた」




諦めたような表情で、郁実が呟く。




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