学校一のモテ男といきなり同居
苦笑いしていると、郁実もプッと吹きだした。




「まぁ…焦ることないか。今はまだ、夢の途中。とりあえず、今できることをやるだけ…」




「うん、そうだよ。CMに出て一気に人気がでたんだもん。きっと、あっという間だよ」




「……真央に元気づけられるとか、ダサ」




「どーいう意味?失礼なっ」




怒りかけたら、ギューッと抱きしめられた。




「ありがとな……」




「うん……」




しっかりしてると思っていたけど、郁実だって不安なんだ……。




先の見えない世界で、手さぐりしながら必死に頑張ってる。




そのお手伝いをしてくれたのは、間違いなく高木さんで……。




高木さんに郁実を渡したいわけじゃないけど、あたしのヤキモチが理由で、郁実の未来を潰したくない。




ストーカーのことで、1度は郁実の未来を奪ってるんだもん。




これ以上、郁実に迷惑かけられないよ……。














「今から……事務所に戻って、高木さんに謝ろう」




「なんでアイツに頭下げなきゃなんねんだよ」




「高木さんは、郁実の恩人でしょ?仕事だって、事務所を通さなきゃ入ってこないよ。ここで全部終わってもいいの?」




「フリーになる。それか、他の事務所に行く」




「実績もないし、事務所とモメて辞めたような人を、雇う事務所なんてあるのかな……」




あたしの言葉に、郁実が言葉を詰まらせる。




「頭に血がのぼって、つい言ってしまったって言えば……高木さんだって分かってくれるよ」




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